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2008年度冬越しをふりかえって

2008年度 熱帯睡蓮の冬越しをふりかえって

2008年度の熱帯睡蓮の冬越しが終了しました。

熱帯スイレンの越冬法には色々な方法がありBerry's Water Gardenでは今シーズン4種類の方法で越冬を行いました。それらの越冬方法を検証して次の越冬に役立てたいと思います。



?、水槽加温栽培








文字通り休眠させず冬場でも温室のような環境にして栽培しました。

サンルームが無いので冬場の日照を確保するため屋外での栽培となりました。

栽培条件

設置場所:
南東角 屋外物干し場(上部屋根透明ポリカネート)
水槽サイズ:90cmらんちゅう水槽(開花用スペースとして上部にアクリル板にて高さ葯20cmのカバーを追加

水温:
26℃~28℃(26℃に固定しないのはリレーが頻繁にON-OFFを繰り返して加熱や溶着などの故障の原因になるとともに作動音がうるさいから)

その他:
水苔対策で水つくりを投入
(これのおかげで屋外ですが水槽のガラスに苔がつくこともなく水替えせずに半年もっています。)




日照を確保するため屋外の透明屋根の下に水槽を設置してヒーターで加温を行いました。
また、寒風吹きさらしなので水温に差が出やすくエアーポンプを入れて水流を作り水を循環させることで水温を均一にするように努めた。

水槽栽培といっても水槽に多くの鉢を詰め込んでいるので、栽培当初はよく成長してくれましたが途中から葉が茂りすぎたりして日照不足に陥るものも出てFoxFire等は休眠に入ってしまいました。
周年開花といってもあくまでも越冬法の一つと割り切って花が咲くのはプレゼント程度に考えないとだめなようです。
個人輸入したりした虎の子のスイレンを越冬させる場合は越冬から目覚めないといった事の無いよう、初年度は水槽栽培を行い増殖しだしたら翌年から他の複数の越冬法に切り替えるというのも良いかもしれません。

来期の課題ですが寒風吹きさらしの環境でしたのでガラス温室とまでは言いませんがビニール温室程度の環境にして水上の気温低下をもう少し押さえることができれば今年以上の開花は見込めると思います。

あと、来年への改善点としてカバーをアクリルで作成したため気温で板が反ってしまいます。横は少し広がる程度なのですが天板が完全に反ってしまいます。この部分だけはアクリルではなくガラスに取り替えたいと思います




?、加温水槽越冬法





温調器とヒーターを使い水槽を熱帯睡蓮が越冬するのに適した(M川さんHP参考)12℃に設定して室内(普段人のいない離れ)にて越冬。




室内といっても普段人のいない離れの部屋(昔親父がよく麻雀をしていたのでうちでは通称麻雀部屋)なので寒波がきたときは確実に室温は氷点下近くまで下がります。その為、温調器で室温を11℃以下には下がらないように加温して管理しました。

この越冬法を採用して今回で2回目の冬ですが初年度は水温のばらつきに注意しなかったので暖かいところと冷たいところが水槽内にでき一部の越冬に失敗した経験から今回水中フィルターを使って水量を起こし、できるだけ水温が同一になるようにしました。





それでも今回3品種の越冬に失敗しました。これら3品種は遅くまで成長していたので強制的に越冬状態に持っていったグループなので純粋に越冬失敗というわけではなくむしろ強制越冬のファクターが強いかもしれません。それでも失敗は失敗ですので失敗した原因を考えてみようと思います。

要因としては下記の事が考えられます。

?、十分に休眠していない状態で葉や根をカットして植え直した為株が弱った。

個人的にはこの要因が一番つよいように思います。同じ輸入組でもしっかり休眠に入っていた品種は越冬に成功しています。やはりもう少し寒気にさらして休眠させてから取り込むべきだったと反省しています。




?、水温管理が十分できなかったので深い休眠に入ってしまい目覚めなかった。

  今回、越冬を失敗したバルブを見てみると頂上の部分が腐って溶けたようになっていたりしていたり、植木はさみで突いてみるとすぐにぼろぼろと崩れたりしているので深い休眠に入ってるという感じではありませんでした。

?、カビ等の感染症に感染した。

  感染症対策で親株も地中に埋め込んでいたのでバルブの周りが白もしくは黒くカビたようになっている物は有りませんでした。しかしながらバルブの頭頂部が溶けたようになっていたのは感染症と関係が有るかもしれません。

?、その他

バルブを取り出す際土の中から赤いイトミミズのような生き物が一緒に出てきました。この生き物が食害したということはも考えられなくはありませんがNETで色々と調べてもそれらしい被害報告もなく、あったとしても蓮の葉や新根の食害ぐらいなのでイトミミズのせいではないようです。

一番原因として考えられるのはやはり、取り込むときに十分な休眠状態にしないで葉や根を切って植え替えた為株が弱り越冬できなかったものと思われます。


?、泥団子越冬法





今年初めて採用した泥団子越冬法ですが無事に全ての団子で越冬に成功することができました。一昨年NHKの趣味の園芸で紹介された越冬法で成功例等の報告が少なく採用するかどうか悩みましたが、複数栽培している品種がいくつか有りましたのでこの機会に色々な越冬法を試すことにしました。

越冬環境

用土:赤玉土

粘度:堅め

保管場所:クーラーボックスに入れてリビングの床上

球根の消毒:有 オーソサイド300倍液に3分浸す

バルブを鉢から取り出し、古い根をカットしてオーソサイド300倍溶液に葯3分間浸す。赤玉土を硬めに練ってビニール袋に入れ、数個の球根を指で埋め込んで(4-5個ぐらいは大丈夫)ハンバーガーを作るみたいに両手で叩きながら用土の空気を抜いて団子状にし、口を縛って用土が乾かないよう密封してクーラーボックスに入れます。
クーラーボックスの設置場所はリビングの隅。越冬中はビニール袋越しですが2回程確認を行いました。(外からは状態はよくわかりません。)








?、スティールウール密閉式越冬法









この越冬法も今年初めて挑戦しました。

この越冬法は、水にスチールウールを入れると錆びる(酸化作用)反応を利用して水中に溶け込んでいる酸素を除去し人工的に低酸素状態にすることでカビなどの雑菌の増殖を抑え越冬中のスイレンが感染することを防止します。

今回、Berry's Water Gardenでは容器の水に水道水は使わず超純水を使用しました。超純水は純粋なH2Oで酸素が溶け込んでいないので初めから低酸素状態な水というわけです。しかしながら運んでくるときに揺られて酸素が溶け込んでしまう恐れもありましたので念のためスチールウールも一緒に入れました。

使った資材ですが水以外は全て100均で調達しました。




作業手順ですが、

熱帯スイレンのバルブを掘り出して洗浄し、古根を切り、消毒のため300倍のオーソサイド溶液に葯3分間浸しました。
そのあと、広口瓶にこのバルブを入れ、その上に100均で買ったスチールウールの固まりを乗せ、超純水を注いできつく蓋を閉めました。

この越冬法は泥団子と違い中の様子が直ぐにわかるので時々水の濁りや異常がないか確認することができました。

越冬結果ですがこちらも全ての容器で越冬に成功しました。

バルブを取り出すときにスチールウールを確認しましたが超純水を使った為か、入れた時のままでほとんど錆びていませんでした。(もう一度来年も使えそうです。)





最後に


熱帯スイレンの越冬方法ですが鉢ごと水に浸けて屋内に取り込む方法が今でも主流だと思います。
数品種の栽培であればその方法が一番簡易ですが、うちのように品種数が増えると越冬場所の確保も容易ではありません。今回色々な越冬方法を試してみましたが、特に初めて実験した泥団子とスチールウール密閉式越冬法は限られたスペースの中で比較的安価で簡単にすることができる有効な越冬方法だと思いました。

今回初めて採用した泥団子方式とスチールウール密閉方式両方で越冬に成功しましたが、NETでは他の方から失敗例も報告されています。全く同じ環境ではないので何が良く何が悪かったのかはわかりませんが、他の方と違う手法が有るとすればバルブをオーソサイドで消毒した事ぐらいです。そのことでどれだけの効果があったかは解りませんが全ての越冬に成功したことを見ると少しは効果が有ったのかもしれません。

来冬の越冬ですが危機管理の観点からも、できるだけリザーブ株(ムカゴも含む)を用意してこれら複数の越冬法を組み合わせることで越冬率を高めていきたいと考えています。

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【2009/05/02 06:12】 熱帯スイレンの冬越し対策 | TRACKBACK(0) | COMMENT(8)
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【 熱帯スイレンの冬越し 】

ラビさん、はじめまして
色々な熱帯スイレンの冬越し対策がありますね。選択肢が多いのはうれしいかぎりです。

スイレンを育て始めて2年目の者ですが1年目の冬越しでバブルにカビがついて腐敗してしまいました。
2年目の冬越しはラビさんお勧めのバブルを土の中に植え込み部屋に取り込みましたところバブルが腐ることなく硬いままでしたがまだ、芽がでてきません。
やはり加温水槽越冬法を試した方がよかったのかなと思います。
今から水槽加温栽培にしたら芽がでてくるのかな・・・

【2009/05/03 00:05】  URL | keiko [ 編集]
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【 休眠打破 】

keikoさんこんばんは!コメントありがとうございます。
実践された越冬法は無加温のバケツ越冬ですか?それとも泥団子?バブルが固ければひとまず安心ですが、バブルが固くても先端部のくぼみ(芽が出てくるところ)の中が腐っている場合もあるのでチェックしてください。大丈夫のようでしたらもうしばらく様子を見られても良いかと思います。
それでも目覚めない場合は私は試したことがありませんが、休眠打破の方法としてジベレリンに浸けると言う方法も有るようです。参考になったかどうかわかりませんが、無事に目覚められるようお祈りしています。

【2009/05/03 00:40】  URL | ラビ(管理人) [ 編集]
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【 余剰バルブで 】

詳しい検証、とても参考になりました。
私の失敗の原因は今となっては 色々考えられます。
消毒しなかったこと、瓶が密閉されなかったこと、
水道水を使用したこと、
もしかしたら 強制的に休眠させた品種もあったかも。

今年は余剰バルブがある品種は 別の方法でトライしてみるかも。
ところで 泥団子方式は 全く新しい赤玉土ですか?

【2009/05/03 08:21】  URL | みも [ 編集]
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【 赤玉土 】

みもさんおはようございます。

スイレンの越冬に失敗すると凹みますよね!

反動で無くなった品種以上に買い込んだりして結局前年より増えてしまうという悪(?)循環を繰り返しています。(汗)

水槽加温越冬法と泥団子越冬法、スチールウール越冬法を行って気づいたというか、そうなのかな?と考えていることがあります。

この越冬法は確かに低酸素状態にして雑菌の増殖を抑え休眠中、細菌に感染しないよう防止する効果がありますが、その他の効果もありそうです。

その効果とは、NETで屋外越冬の報告例が結構ありますが、それらは比較的深い水深で越冬させているようなのです。つまり低温でも比較的水温が安定しているということです。それを踏まえて今回の越冬法を検証してみると室内のリビングでクーラーボックスに入れて保管していましたのでほぼクーラーボックス内は同じ温度に保たれていたと思われます。

容器をそのまま外気に触れさせると室内でも温度の高低差はありますので越冬温度は上下します。暖かくなったり寒くなったりするのは安定的な休眠には悪影響があるのではないでしょうか?越冬には低温だけではなく温度の寒暖の差も影響すると考えるとただ屋内に取り込むだけでなくクーラーボックスなどの断熱に優れた容器に入れることで越冬の成功率が上がるのかもしれません。

赤玉土ですが新品を使っています。理由は肥料などの要素がない方が雑菌対策になるのでは?と考えたからです。

【2009/05/03 09:46】  URL | ラビ(管理人) [ 編集]
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【 今年も失敗かも・・・ 】

ラビさん、こんにちは
実践したの越冬法は無加温のバケツ越冬と泥団子です。
部屋に取り込んだといいましても寒々とした部屋だったような・・・
これは深い休眠に入ってしまったかもです(凹)
もう少し様子をみて、芽が出て来なかったらM川さんのところで、ポチッとします。

【2009/05/03 16:47】  URL | keiko [ 編集]
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【 ドウベン 】

この前越冬について書き込みしましたが、生き残ったドウベンの2つの塊根のうち1つから新芽がでてきました。
去年とったムカゴからも芽がでているのでなんとか今年もドウベンの栽培ができそうです。(夜咲きのほうはまだですが…)


今年はとりあえず無加温で鉢ごと越冬したのですが、やはり強制的に葉を切った上に親の塊根の上に土を被せなかったドウベンの親株はカビに冒されて腐っていましたね。
夜咲きのほうは土を被せたおかげか表土にカビのようなものがみられたものの塊根はガチガチに固いままでした(でも、休眠から覚めていないんですけどね…)

イトミミズのようなものに関してですが、うちの水槽に限ったことかもしれませんが今思えば水質の悪化なのではと感じています。
使っていない60センチ水槽に沈めていたのですが、水の色は若干黄ばんでいたし熱帯魚水槽にも発生したことのないヒドラまで発生していました…汗
春になって一か八か塊根を鉢から取りのぞいて新しい赤玉に埋めてからはそういった生物は見られなくなりましたし、カビの兆候も全く見られません。

最後に熱帯スイレンの越冬方法は数多くありますが、どの方法も一長一短あってなおかつ同じ方法をとったつもりでも、微妙な環境の違いで結果が大きく変わってしまうみたいですね…
すべての株越冬が成功すればそれ以上にいいことはないですが、自分にあった方法が見つかるまでは色々ためしてみるしかないみたいですね。

【2009/05/03 21:21】  URL | 悠 [ 編集]
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【 越冬について 】

>>keikoさん

私も昔離れに水槽置いて越冬失敗したことがあります。
かといって水鉢を室内に取り込んだりしたなら家族に何を言われるかわかりませんので室内に取り込む場合はクーラーボックスに泥団子かスチールウール密閉式がお勧めです。うちみたいに365日PCが稼働しているとPCの近所なども冬場絶好の越冬場所になるのでそういうところを探してください。そうそう、冷蔵庫の上という方もいらっしゃいました。

休眠ですが状態によっては7月頃目覚めたと言うケースもありますのでバルブが腐ってなければ様子を見られても良いと思います。


>>悠さん

ドウベンは私も好きな睡蓮の一つです。ムカゴ種なのでムカゴ苗をいくつか作っておけば越冬ミスしても取り返しがつくのでうちでは2-3個は必ずキープするようにしています。

越冬方法ですが仰る通り環境が違えば結果は変わります。
失敗は成功の元といいます。
私もこ今年の失敗を教訓に次のシーズンは色々と工夫してみようと思います。

【2009/05/04 00:33】  URL | ラビ(管理人) [ 編集]
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【 強制越冬 】

ラビさん、こんにちは。
温帯種の余剰株の際にはお世話になりました。
私は睡蓮2年目で今回初めて数種の熱帯種越冬を試みました。そのうち、サーガラハッドについて、夜咲で寒さに弱いと聞いていましたので11月中旬ごろ残っていた浮き葉を処理し鉢ごと室内に取り込みましたところ親株はすっかり腐って無くなってしまいました。先日、あきらめて鉢の処分しようとしたところ子株を発見。子株の方は生きているみたいです。強制越冬させなかった他の熱帯種は無事越冬できました。強制越冬は避けたほうが良いように思います。

【2009/05/04 10:14】  URL | ノブ [ 編集]
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