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2012 熱帯スイレンの冬越し対策 まとめ



2012 熱帯スイレン冬越し対策 まとめ

この冬、従来の3方式(「加温式屋内越冬法」、「加温式屋内越冬法」、「スティールウール密閉式越冬法」)に加え、新しく「乾燥式越冬法」、「バキューライト埋設式越冬法」、「鉢そのまま屋内越冬法」の3つの冬越し方式を試してみました。

乾燥式越冬法

<バルブを乾燥させてビニール袋等に入れて屋内で保存する方式。>

乾燥法には大きな期待を持っていましたが、最終的な判断ではありませんが成功率50%程度になりそうです。残念ながら当初の期待通りには行きませんでした。
確かに1度だけの試験で判断するのは問題が無いとはいえませんし、また、乾燥法といっても、今回採用したのはバルブをシールパックして真空保存する方式で、本来の方式とは少し変えています。本来の方法はバルブを1個ずつ小袋に入れて保存するので他のバルブの影響を受けにくいことは確かです。ただこの方法だとバルブの数だけ袋が必要で手間も結構かかります。
越冬結果ですが小さなバルブは乾燥に耐えれなかったようでほとんどがからからに乾燥していました。ある程度バルブの大きさがないとダメなようです。バルブの大小にかかわらず越冬できる方式でないと継続して使うことはできませんので、やはり水生植物には乾燥法はあまり向いていないと今のところ判断せざるを得ません。次の機会に小袋でも実験するつもりです。

鉢そのまま屋内越冬法

<栽培している鉢を水から出して、練った赤玉土で上部を覆い(空気を遮断)ビニール袋に入れて屋内に取り込む方式>

とりあえず実験として3鉢用意しました。現在3鉢中2鉢で覆土から新芽が出て幼葉が展開しています。残り1鉢は休眠中かダメになったのかは現在不明です。しばらく様子を見て動きが無ければ掘り出して確認するつもりです。

この方式は全く水を必要としません。(湿度を保つため練った赤玉土は必要)バケツと違い置き場所を選ばないので、室温があまり低くならない居室であればどこででも越冬が可能です。


バキューライト埋設式越冬法

<バキューライトにバルブを埋めて保管する方式>

バキューライト埋設式越冬法は以前からある越冬法ですが、カビに感染する危険性が高いと言われてきた方式なのでこれまで試したことがありませんでした。
新方式での越冬実験に合わせて今年この方式も試してみました。

事前準備として、実験に際し、できるだけカビ感染の予防が必要と考え事前にバルブはオーソサイド等で消毒すると共に、使用するバキューライトは水を加えて湿らせてから電子レンジで加熱殺菌しています。

作業手順ですが、食品保管用タッパーに半分ほどバキューライトを入れてバルブを置き、その上を再度バキューライトで覆っています。バキューライトにはできるだけ圧力を加えてギューギューになるように詰め込んでバルブの周りに空間ができないよう注意しました。

バルブをバキューライトに埋め込むと、越冬中は状況確認ができないので、暖かくなってバルブを掘り出して初めて越冬の成否がわかります。

今回20容器(19品種・49個)で実験しましたが明らかにダメだったのは"N.Midnight Serenade"の1品種(1個)だけでその他は大丈夫そうです。また、既に太い新芽が出だしている品種も多く、そのまま植付が可能の状態でした。

懸念されたカビですが、20容器中、2容器で表土に青カビが認められましたが、表面だけで内部への感染は認められませんでした。表面が乾燥して収縮しバキューライトがひび割れてその亀裂に沿って青カビが発生したようです。養分が無ければカビの発生は起こらないので、ひび割れ部から何かしらの有機物が蒸散したのではないかと考えています。また、もう片方はひび割れは無かったのでパッキング中に何か有機物が付着したのかもしれません。

今回使用したタッパーは深いものではなかったのでバルブは寝かせて埋め込みました。その影響で発芽したバルブは芽が横倒しになっていました。埋設する場合はバルブを縦てるようにしたほうが良いようです。

加温式屋内越冬法(鉢)

加温式屋内越冬法(バルブ

<水槽にヒーターを入れて鉢やバルブを加温栽培する方法>

一言で言えば冬眠させず温室栽培で育てる方法です。しかしながら、日照が少なくなるので補助照明を付加しないと開花まで持っていくのは難しいようです。
バルブの場合は用土が無く養分が足らないので、最小の水中葉だけで準休眠状態のようになります。越冬失敗が許されない品種の維持にはこの方法が一番確かな方式です。

スティールウール密閉式越冬法

<バルブを堀上げてオーソサイドで消毒後、スティールウールを入れたガラス瓶に入れて密閉しクーラーボックスや発泡スティロールBOXに入れて室内で越冬させる方式>

用水の溶存酸素をスティールウールで除去し(鉄の酸化作用)低酸素状態にすることでカビなどの感染を防止し越冬を行う方式。

この方式は、なんといっても鉢をバケツに入れて越冬させるのに比べ保存場所が少なくすむ事が最大のメリットです。数年来この方式をメインで越冬させてきましたが、ここ数年失敗も多く、今年は2品種ダメにしてしまいました。

まとめ

熱帯スイレンの越冬には多くの方式がありますが、Berry's Water Gardenが目指しているのは水を必要としない(水に浸けない)越冬法です。今年実験した乾燥法はその目標にぴったりの越冬法でしたが、残念ながら良い結果にはなりませんでした。
しかしながら、「鉢そのまま屋内越冬法」や「バキューライト埋設式越冬法」といった新たな越冬法が有効な方式であることが今回の実験で判明したことは大きな成果でした。特にこれまでタブー視してきた「バキューライト埋設式越冬法」については最有力候補といっても良いかもしれません。カビ感染防止の為の殺菌(加熱処理等)手順の見直しや、バキューライト表面やタッパーの蓋の裏をアルコール消毒するといった改善は必要ですが、来冬までにこの方式をぜひ確立させたいと思います。

現在主に使っているのスティールウール越冬法も最近は成功率も高くなく後の瓶洗浄など当初思っていた以上の手間がかかっています。今後はバキューライト埋設式越冬法の割合を増やして、私が目標としている水を必要としない越冬法に順次移行していきたいと考えています。

それと、次の冬には未だ実践したことが無い10番目のフェルト式越冬法にもチャレンジしたいと思います。

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【2013/05/19 06:46】 熱帯スイレンの冬越し対策 | TRACKBACK(0) | COMMENT(6)
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